世界三大料理の一つ中華料理。その中で一番庶民に愛されているのが、四川料理。王朝は変れども食文化は変らず、中国4千年の歴史が生んだ刺激的な四川料理をご紹介します。
三国志、蜀の舞台にして、中国一美食の都・四川省
世界三大料理といわれる「フランス料理」「トルコ料理」そして「中華料理」。世界で一番食べられている料理は、おそらく間違いなく中華料理です。
「中華」と一括りにされることが多いのですが、実は大きく分けて8つの地方料理に分類することができます。(地図を参照ください)それらの中でも抜きんでて進化を遂げ、四大料理と言われるまでになったのが「山東料理」「広東料理」「江蘇料理」「四川料理」です。
料理名 | 地域 | 説明 |
---|---|---|
四川料理 – 川菜 | 四川 | 味、料理の種類が多く、香辛料を効かせる辛い料理が特徴。麻婆豆腐、回鍋肉等。 |
山東料理 – 鲁菜 | 山東 | 北京料理も含む。葱、大蒜を多用。塩味がきき、醤油の味付けが多い。餃子、北京ダック等。 |
広東料理 – 粤菜 | 広東 | 豊富で珍しい食材。薄味で、素材のうま味を生かす料理が多い。飲茶、酢豚等。 |
江蘇料理 – 苏菜 | 江蘇 | 上海料理も含まれる。味付けは淡泊で旬の素材のうまみを生かす。揚州炒飯、小籠包等。 |
福建料理 – 闽菜 | 福建 | 客家が東南アジア、日本に広めた料理。山海川の食材を使う。味付けは淡泊。ツバメの巣等。 |
浙江料理 – 浙菜 | 浙江 | 新鮮な素材を選び、よさを引き出す料理。味は塩辛くさっぱり。東坡肉等。 |
湖南料理 – 湘菜 | 湖南 | 中国で一番辛い料理と言われる。味は酸辣が特徴。酸辣湯、剁椒鱼頭等。 |
安徽料理 – 徽菜 | 徽州 | 山、川の食材を多用。とろみをつけこってりとした料理が特徴。ハムとスッポンの煮込み等。 |
では四大料理の中でも、最も人気があるのは?
実は四川料理と言われています。
中国大陸の真ん中にある四川省の人口は約8050万人。肥沃な土地で豊富な食べ物があることから、四川省は昔から「天府之国(物産の豊かな土地)」と言われ、独自の食文化を育んできました。とにかく多彩な味つけは、類を見ません。
日本人の一般的な味覚は甘味、酸味、塩味、苦味、辛味と5つありますが、四川料理には「麻(マー)=痺れる」というもう一つの味覚が存在します。そして、辛味の味覚は6種類に分かれます。
その6種類の辛味の中で一番有名なのが、山椒の実の一種である「花椒(ホァージャオ)」を使った、痺れて辛い「麻辣(マーラー)」味。日本で愛されている麻婆豆腐もこの麻辣味に属します。
四川料理の中ある6つの辛味
- 麻辣(マーラー)花椒を使ったしびれと辛み。
- 香辣(シャンラー)花椒と唐辛子の香りが強い辛さ。
- 煳辣(フーラー) 唐辛子を炒め焦がした辛さ。
- 糟辣(ザオラー)糟漬け唐辛子の辛さ
- 酸辣(スアンラー)酸っぱ辛い
- 鮮辣(シェンラー)生の青唐辛子を使った辛さ
すべての料理が激辛なわけではありません
花椒と唐辛子がたっぷり入って、真っ赤な料理をイメージする四川料理ですが、すべての料理が激辛なわけではありません。回鍋肉、青椒肉絲や糖酢里脊といった、ご飯に合う家庭料理も四川料理の魅力の一つです。