老干媽
About me
中川正道。四川省公認の四川料理の専門家、麻辣連盟総裁、時色株式会社代表。2002~2006年まで四川省に滞在、四川料理に魅了される。2012年に単身、四川省へ行き、四川の仲間たちと200店舗の四川料理店を食べ歩き「おいしい四川」サイトをリリース。2014年夏に日本初!四川料理食べ歩きガイドブック「涙を流して口から火をふく、四川料理の旅」を出版。2日間で6.5万人を動員した四川フェス主催。得意技は四川料理、デザイン、巻き込み力。


 

 

普段は豆板醬を使っていますが、たまに使うと妙においしいのが、老干媽シリーズの調味料。

老干媽とはおふくろという意味で、創始者である陶華碧(タオホァビ)さんが作った調味料ブランド。

 

中国人ならだれでも知っている、中国で一番人気がある調味料です。

 

その人気ぶりはすさまじく「老干媽(ラオガンマー)をごはんにかけて食べる」というのは

いまや普通の光景になりました。

老干媽

出典:http://www.laoganmajp.com/

 

成都の炒飯屋さんに行くと老干媽炒飯は普通にメニューにあるほど。

そんな老干媽はどのように発展していったのか?まとめてみました。

 

老干媽とは?

 

老干媽の創始者である陶華碧(タオホァビ)さんは
貴州省湄潭県山奥で生まれ。貧乏な家庭で育ち、
子供の時から大人になるまで、ほとんど勉強もしてこなかった。

 

そんな彼女は20歳になり結婚。
しかし、それからしばらくして夫は二人の子供を残し、死去してしまう。

 

1989年、彼女は生きるために小さな一室で、凉面・涼粉専門店のレストラン(実恵飯店)を始める。
自家製の麻辣醤を作り、凉面、涼粉にあえて出したところ、お店は繁盛していった。

 

ある朝、彼女は眩暈がして体調が悪く、市場に唐辛子を買いにいけなく、麻辣醤を作れずに店を開けた。
そんな時にある事件が起こった。

 

あるお客さんが「今日は麻辣醤入ってない」と聞きいた途端、すぐに店を出て行ってしまったのだ。

なぜ帰ったのだ?もしかして冷麺、涼粉を食べにきたんじゃなく、私が作った麻辣酱を食べに来てたのか?

 

彼女はそれから何年も麻辣酱を研究、改良し、ついに独自の麻辣酱を開発した。

 

お店で麻辣酱を売り出し結果

 

お店のお客さんは冷麺、涼粉を食べ、必ずと言っていいほど麻辣酱を買っていった。
ただし、麻辣酱のみ買いに来るお客さんが増え、次第に冷麺、涼粉は売れなくなっていった。
麻辣酱は生産が追い付かなくなり、陶華碧さんは疑問を感じていた。
こんなに麻辣酱を買って行って、彼らは食べ終わるのか?

 

有る午後、当日の麻辣酱は売り終わったが、凉面、涼粉を食べにくるお客さんが一人もいなくなった。
彼女は何かがおかしいと感じ、店を閉め、辺りの凉面、涼粉屋さんを見て回った。

 

めちゃくちゃ繁盛している・・・繁盛している原因を探ると驚きの事実が。
この凉面、涼粉屋は彼女が作った麻辣酱で味つけをしている!

 

次の日から彼女は麻辣酱を売ることをやめることした。

こんなに素晴らしい麻辣酱を作っているのになぜ冷麺、涼粉をうるんだ、
いっそのこと麻辣酱の工場を作ったらいいんじゃないか

冷麺、涼粉屋さんのオーナーは頼む売ってくれというと逆ギレ。

 

彼女は思った、確かにそうだと、こんなに人気があるなら麻辣酱の工場を作ったらいいんじゃないか
冷麺、涼粉を売っている場合ではない。

 

そして、1996年7月、40名を雇い、麻辣酱生産工場を設立した。
商品の名前は「老干媽麻辣酱」。

 

老干媽

出典:http://www.laoganmajp.com/

 

※ここからは以前サーチナに掲載されていた内容、すでにリンク切れ

もっとも、最初からすべて上手くいったわけではない。

というのは、それまで経営していたような、涼粉などを供する小さな食堂に
売ることだけを考えていたからだ。

 

そこで陶華碧は、商品を背負って食料品店を回り、棚に並べてもらった。
さまざまな飲食店にも置いてもらった。

 

効果はてき面だった。
一週間もしないうちに「また、あの商品が欲しい。今度は前回の倍の量で」という注文が相次いだ。

 

これほどまでに、自分の味が受け入れられたのは意外だった。しかし同時に、大きな自信が湧いてきた。
個人経営という状態から脱皮して「企業」という経営形態にすることを目標に定めた。

 

1997年8月、貴陽南明老干媽風味食品有限責任公司が成立した。
学歴は皆無という農村出身の女性が、企業オーナーになった瞬間だった。

 

ちなみに、小学校にも行っていない陶華碧は、文字を書くことができない。
そのため、自分の名だけは書けるようにと、懸命に練習したという。
契約書などにサインしなければならないからだ。

 

学問はないが、私には技術がある

 

茶やその他の味がついた飲み物は口にしない。
すべては、鋭敏な味覚を保つための努力。

 

老干媽風味食品有限責任公司は、その後50種あまりの商品を発売しているが、いずれもヒット。
すべて陶華碧がOKした味だ。

苦労が多かった人生の過程で、彼女は意志の力と物事の本質を見極める知恵を身につけた。

 

例えば、初めて大学卒業生を雇ったときのことだ。
事務関連の仕事をしてもらおうと思った。

 

彼女には到底できない仕事だからだ。しかし、まずやらせたのは会社の雑用。
その次には全国各地を回らせた。「ニセ商品」の摘発活動の現場にも関わらさせた。

 

本社では、事務関連の人材不足に悩んでいたが、彼女はあせらなかった。
大切なのは、企業活動の実態を知ってもらうこと。
中途半端な理解では、長く留まって能力を発揮してもらうことは、難しい。

 

陶華碧は「よい刃物を作るためには、最初に十分に焼きを入れて、
最後の段階でもう一度研いでやる必要がある」と表現している。

 

高学歴者に対する無用の気づかいは、一切しなかった。
そして半年後、あらためて事務主任に任命。

 

ちなみに、この老干媽風味食品有限責任公司にとって初の大卒採用者、
王海峰氏は陶華碧の片腕として、会社を盛り立てる大きな役割を果たすことになる。

 

「おふくろさん」を困らせる奴は許さない

 

今どきの企業にしては珍しく、従業員のアパートをすべて無償で提供している。
勤務時の食事も無料。単に甘やかしているのではない。
彼女は地元密着型の企業を目指した。

 

しかし、会社は貴陽市内といっても市街地からかなり離れた場所にある。
近くにアパートなどは見当たらず、飲食店も少ない。
企業の方針は方針として、「これでは社員が、あまりにも不便だろう」と考えたわけだ。

 

また、陶華碧は多くの従業員の誕生日を覚えていて、その誕生日には、
縁起物の「長寿麺」をふるまう。
社員を家族同様に考え、家族に対するように接する。これが、彼女の変わらぬ方針だ。

 

こんな話もある。会社の食堂で働く若いコックがいた。父母を早く亡くし、幼い弟がふたりいる。
しかし、酒好きタバコ好きで、毎月1000元の給料をほとんど使ってしまう。
ある日、陶華碧はその調理師をホテルのレストランに招待した。「息子や…」と話しはじめる。
社員に対して、彼女はいつもこのように呼びかける。

 

今日は、好きなものを飲みなさい。いくらのんでもかまいませんよ。
でも、明日からはお酒とタバコはやめなさい。弟たちを学校に上げるために、
お金を貯めなければいけないでしょ。
私みたいに、字も書けない人にしようなんて、絶対にだめですよ

と説く。調理師はそこまで考えてくれたことに感動し、その場で禁酒禁煙を約束したという。

 

こういった心配りを、彼女は「感情の投資」と呼んでいる。

 

相手に自分の感情を投じれば、かならず「リターン」がある。
一人一人に感情を注げば、全員の気持ちが一丸になると、彼女は言う。

 

ちなみに、老干媽風味食品有限責任公司で、陶華碧を「董事長」と呼ぶ者はいない。
誰もが親しみを込めて「老干媽(おふくろさん)」と呼ぶ。

 

「おふくろさんを困らせる奴は許さない」というのが、社員全体の暗黙の了解になっているそうだ。

 

最後に

中国一有名なラー油ブランドの創設者の女性、政府から「8888」のナンバープレートを贈られる―中国

抜粋:陶さんのここ3年(2014年)の納税総額は18億元(約342億円)、

生産額は68億元(約1292億円)で、直接的・間接的に800万人の農民を豊かにしてきた。

 

すごい数字ですね。まさに中国版の広岡浅子。

ドラマ化しないか、期待しています!

 

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中川正道
中川正道、1978年島根県生まれ。四川師範大学にて留学。四年間四川省に滞在し、四川料理の魅力にはまる。2012年にドイツへ移住。0からWEBデザインを勉強し、フリーのデザイナーとしてドイツで起業。2017年に日本へ帰国。「人生の時を色どる体験をつくる」をテーマに妻の中川チカと時色 TOKiiRO 株式会社を設立。
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