しびれて辛い「麻辣(マーラー)」は四川料理を語る上で最も重要な味ですが、
もう一つ四川ならではの味付けがあります。
それは「魚香(ユィーシャン)」という味付けです。
甘酸っぱさの中にピリッとした豆板醤の辛さを入れ、ニンニク、生姜、泡椒(パオジャオ=漬けた唐辛子)で香りを出す、ちょっと複雑な味付け。
パンチがある味なので、ごはんとの相性は抜群。
辛さを押さえたら、子供でもパクパク食べられます。
代表的な料理は?
豚肉を細切りにした「魚香肉絲(ユィーシャンロウスー)」や茄子を素揚げし炒める「魚香茄子(ユィーシャンチエズ)」などがあります。
魚香茄子は日本の麻婆茄子の原型ともいわれています。
※四川には麻婆茄子という料理はありません。
魚を煮る調味料から生まれた魚香味
四川省のとある家で、商売をしている夫婦がいました。
この夫婦は魚を食べるのが大好き。
当時、魚を食べるときはネギ、生姜、ニンニク、酒、酢、醤油などをたっぷり入れ、臭みを消して食べていました。
ある日、女主人が一品ほど料理を作ろうとしているとき、
ふと「魚を煮るときに使うこの調味料たちをこのままにしておくのはもったいないわ」と思い、
別の料理に使ってみることにしました。
作ったはいいけど、この料理はおいしいのかしらと不安な女主人。
そこにお腹をすかせた主人が帰って来ました。
食べ始めて1分もしないうちに
「こんなおいしい料理、一体どうやって作ったんだ?」
と大満足の様子。
魚を煮るときに使っていた調味料を基に作る、
こうして「魚香」という味が生まれたのでした。
魚味の味の作り方
複雑そうな魚香の味付けですが、基本的に3つの工程から味付けを行います。
①初めに豆板醤、ニンニク、生姜、泡椒(刻んだもの)を油でいためて香りを出す。
②具材を入れて火を通し、醤油、塩で味付け。
③最後に砂糖と酢を入れて、なじませる。
チャーハンにしたり、豆腐料理にしてみたり、いろいろな具材で魚香味は活用できます。
複雑な味付けですが、ご飯がすすむ!面白い味なので、ぜひ、お試してください。
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中川正道、1978年島根県生まれ。四川師範大学にて留学。四年間四川省に滞在し、四川料理の魅力にはまる。2012年にドイツへ移住。0からWEBデザインを勉強し、フリーのデザイナーとしてドイツで起業。2017年に日本へ帰国。「人生の時を色どる体験をつくる」をテーマに妻の中川チカと時色 TOKiiRO 株式会社を設立。
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